古民家みとうは解体寸前でした。
約100年前に建てられた「古民家みとう」は2016年3月で解体され、駐車場になる予定でした。しかし、102歳まで長寿を全うした元の持ち主は、解体することを望んではいませんでした。出来ることなら古民家を存続させ、古民家としての別の道を考えていたようです。
しかし、古民家を住居として存続させるには、店舗として使われていたので、耐震問題を含め無理があると考え、解体し駐車場として空地を利用することに決めていたそうです。
しかし、その時に持ち主が偶然見た新聞記事がきっかけで再生協会に相談し、解体するより再生協会で「活用の道を考えて欲しい」と言う結論に達し、今に至ります。
空き家を含め、古民家を存続させ、日本の伝統文化を継承していくことは非常に困難です。
現在日本では壊して新しい物を立てる方がコストも安く、良いものが作れると考えられています。しかし、もともと日本人が持っていた「もったいない」と言う心は、日本のどこかに残っていると思います。この心を大事にすることで、物を大切にすることに気が付くのだと思います。
「古民家みとう」には多くの子供達が毎週のように遊びに来ます。子供達には古民家に触れることで家を大事にしたり、大事に使えば次の100年に繋がると言う心を養って欲しいと思います。
※写真上説明
昔はこの土間でお酒を売っていた様です。毎日夕方になると、仕事帰りの働き手が、1日の労をねぎらっていつまでも話をしていたそうです。
古民家みとうの魅力
贅を尽くした造り
和室の床の間は一間半もあり、床框は高さもあり高価なものが使われています。床脇には一枚板の棒が使われ趣のある造りとなっています。天井板は杉の柾目が使われ、現代では手に入りにくい高価な材料が使われています。柱にも無節の檜が使われ、当時お客様を迎えるのが如何に大切だったかがうかがえます。
二階の和室
古民家みとうの二階には本格的な床の間があり、栄えていた当時はこの和室でお酒を酌み交わし、大田の街を眺めていたと聞いています。二階から観る大田の街には繁栄していた当時の面影が見られます。
通り土間
昔の民家にはよくあった通り土間が今も残っています。現在も土間を通って台所に行ける造りになっています
女中階段
みとうには階段が二か所あります。この階段は女中階段と言われ、階段には蓋がある珍しい造りになっています。
一階の梁
一階の玄関口には60cmの梁が使われ、当時これだけの材料を調達するのには苦労したと思います。古民家にはとても重要な構造になっています。
一階和室
一階の和室はリフォームされ、押入れは飾り棚に変更しています。床は杉の無垢板に断熱材を充填し寒さに対応した部屋になっています.
古民家みとうの室内
一階には、お客様と打ち合わせする為の部屋があります。この部屋は床に無垢板、建具は別の古民家の「簀戸」を使っています。天井には元々の竿縁天井が見られ、落ち着いた空間になっています。二階には長い廊下があり、床は黒光りした杉の板で造られています。百年以上前の廊下ですが、今もしっかりしていて、床が鳴る感じも独特の味のある風合いを出しています。トイレは水洗トイレに変更され、ウォシュレットも付いています。
手摺などもありますので安心して使用できます。洗面化粧台はシングルレバー水栓を使用して、750センチの幅が広いタイプを使用しているのでゆっくり使えます。浴室内も広くゆっくりと入れます。浴槽も足が伸ばせる大きさがあり、シャワーも完備、給湯設備はフルオートを使用しています。